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分子栄養医学


院長 開業への思い
院長 開業への思い

 
 開業への思い 徳島大学病院総合歯科診療部医局長 退職の日の手記より〜

2009年6月30日(火)

今日で徳島大学での勤務は終わった。振り返ってみると、あっという間に駆け抜けていった歳月。
気づけば、24年も大学でお世話になった。
本当にいろいろなことを学ばせてもらい、恩師、同僚、後輩、スタッフなどすべての人とのご縁があったからこそ、今の自分がいる。
感謝しなければ。。。
大学を退くとき、最後に挨拶に行った恩師に
「山内、おまえはずっと大学にいると思ったよ。大学のインプラント診療をよく支えてくれたな。ありがとう」
こんなすばらしい先生に認めてもらえたことをうれしく思い、
そして、大学を退くことに少し寂しさも加わり、恥ずかしながら男泣きをしてしまった。

実は、2年前までは開業することをまったく考えてなかった。
大学というすばらしい組織、先端医療に従事することが、日々充実し、楽しかったからだ。
しかし、ある日の出来事をさかいに、開業医として歩もうと決意した。

その日、いつものように診察をしていた。
次の予約はAさんだった。
いつも予約時間の15分前から待合室で待っていてくれる方だ。
その日は、Aさんが楽しみにしていた入れ歯をセットする日。
しかし、まだ来られていなかった。
ふと、時計を見ると予約時間が30分以上過ぎていて、
待合室には次の予約の患者さんが待っていた。
どうしたんだろう?忘れているのかな?と思いながら、
仕方がないので次の患者さんの治療を始めた。

夕方、すべての診療を終わり、
Aさんの予約を取り直そうとパソコンのカルテを立ち上げた。
目の前が真っ白になった。
Aさんは、昨日、医科病棟に緊急入院をし、お亡くなりになっていた。
Aさんが生前とても楽しみにしていた入れ歯。
自分自身もかなりいい出来だと自負していた。
せめて、棺の中にでもいれて持たせてあげたいと思い、関係者に相談をした。
しかし、返答は「システム上、ムリです」の一言。
確かに、多くの人々が働く組織で、公的な機関なだけに、大切なシステム。
理解はしていたつもりだが、Aさんのことを思うと、
くやしくて、情けなくて、どうしようもない感情が沸き起こった。

インプラントの先端医療や総合的な歯科を目指す上で、決して離れたくなかった大学病院。
しかし、僕自身は歯科医師である前に人である。

この出来事があり、僕の気持ちは大きく開業することへの道へ傾いた。
人と人との自分らしい付き合い、地域の人々との出会いを大切にしたいと思ったからだ。
そういえば、歯科医師になったばかりの頃は、
「心と心のつながりを大切にする歯医者になりたい」と思っていた。
いつの間にかスキルアップばかりを目指し、大切なことを忘れていた気がする。
初心、忘れるべからず。新たな気持ちで、地域医療に取り組んでいこう!